JFL開幕の目前に起きた大地震の影響で、地震前ののどかでありながら停滞したような空気を忘れてしまうぐらい世の中の動きは激変し、毎日落ち着かない日々を過ごしました。初めての松本行きが復興に向けたチャリティーマッチという形になるとは私も夢にも思っていませんでした。
松本へ向かう車窓から眺める人々の営み。大きな山が目の前にせまってくるにつれてそこで暮らす人々の姿から、津波にさらわれてしまった東北の沿岸の街が思い起こされ胸が痛みました。
松本は晴れ。風が冷たかったですがフットボールを待ち望んでいる人たちでスタジアムは賑わっていました。試合前に募金箱を持って立っている松田さんはたくさんの人に揉まれて緊張の面持ち。自分が出場する試合の前にこういう形でファンの人の前に立つなんて横浜にいた頃は考えられなかったでしょう。
少し前に日本代表とJ選抜で試合がありましたが、近い将来(といってもどのくらいのことか見当がつきませんが)に必要になるのは地域の人たちが身近に感じているクラブの試合だと思います。ここにくれば会える人々は私の分身でもある。クラブは私たちサポーターのもの。たくさんの人と作り出す社会。社会を動かす熱意や感情。そういった諸々がここにはある。
そういったクラブを形成していくものを知るきっかけになったのは、私にとっては松田直樹という一人の選手であり、横浜Fマリノスでもあります。
試合後の選手の挨拶の中で「こういったなかで、このままサッカーを続けていっていいのかどうか悩みました」という言葉はあのスタジアムに集った人々の心を捉えていたと思います(JFLではプロ契約している選手だけではなく、働きながらチームに所属している選手もたくさんいます)。
ネットや人の口を通して日々伝えられることに、自分はこれからどうやって生きていくのか。そして原発の事故によって露になった労働問題や大企業に利益が集中する消費生活への依存、同調圧力。それらはそっくりそのまま自分にも当てはまり、これらに反対の声をあげることはそのまま自分に跳ね返ってくるようで悩みはつきませんが、それらの悩みをプラスに変換するのは人々との対話だと確信しています。
いろいろなものが復興したとしても、私はもう震災前の心境には戻れないでしょう。のどもとすぎれば…みたいな人もたくさんいるとは思いますが、これからは与えられたものに乗っかるだけでなく、自分で考えて形成していく力、間違いをやり直し軌道修正もできる大きな寛容性が求められていくんだと思います。長期戦だものね。

旗の元に想いが集う。山雅のダンマクはセンスのいいものが多かったです。